ひきこもりの長期化を防ぐために
ご家族や、知り合い、又はご自身が自宅からなかなか出られないことで困ってはいませんか。
実は自宅からなかなか出られない、いわゆるひきこもりと呼ばれる状態は珍しい事ではありません。ひきこもり地域支援センター(厚生労働省,2023年8月15日閲覧)の相談件数も年々増加傾向で、令和3年度には12万件を超えました。相談する年齢も様々で、若者に限ったことではありません。ひきこもりは、生きている中で起こる「ふとしたきっかけ」でその状態になったり、統合失調症などの病気でも見られたりする状態です。誰もがなりうる可能性があります。
ひきこもりについては厚生労働省(2023年8月15日閲覧)によると
「様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)」としています。
ひきこもりの状態の方はいつまでも家にいるために怠けている等の誤解を受けます。ですが、「働かなければいけない、人と関わらなければいけないと感じている自分」と、「それができない自分」で葛藤(斎藤・本間・内藤・田辺・佐藤,2017)している方も多くいます。それはとても苦しい事です。
「早く働きなさい」「いつまでいるんだ」などの声掛けは悪化する原因になるので避けましょう。一番は家族などや支援をしてくれる周りの方が、ご本人の状態を理解してくれることが大事になります。
ひきこもりの長期化を防ぐためには、ひきこもりのご本人の受診・来談を出来るだけ早くする(厚生労働省,2023年8月15日閲覧)ことが大切になります。まずは支援施設への相談や病院受診等をしてみましょう。家族支援や個人療法ができたところで徐々に集団での支援、居場所づくりに繋がっていきましょう。段階を踏んで就労を目指していくことが大切です。
医療法人イプシロンでは就労移行支援事業所を茨城県内で3か所展開をしています。
働きたいと考えているひきこもりの方への支援も行っています。就労までにまだ体調が整っていない、もう少し疾病理解をしたい、他者に慣れたいという方には法人のリワークとの併用もお勧めしています。実際に、リワークを利用してから就労支援事業所の利用を始めた方や、就労移行支援事業所に通いながらリワークの運動療法等のプログラムに参加をしている利用者様もいらっしゃいます。
就労までの道のりを一緒に考えていきませんか。お気軽にご相談ください。
音楽療法士 / 支援員 井桁 希
参考文献
生労働省:ひきこもり地域支援センターについて―相談実績―
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000882368.pdf(2023年8月15日閲覧)
厚生労働省:ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000147786.pdf (2023年8月15日閲覧)
齋藤まさ子・本間恵美子・内藤守・田辺生子・佐藤享・小林理恵:ひきこもる人が社会との再会段階から就労を決断するまでの心理社会的プロセス 新潟青陵学会誌9(1),11-20,2017.
佐藤隆也:ひきこもり支援の変遷と課題 川崎医療福祉学会誌28(1),27-36,2014.